クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「おかしいなとは思ったんですがあまり疑うと失礼かなって。部屋に入るのは嫌だと伝えたら、俺は銀行の役員の親族だって。私が失礼な態度をとったせいで融資をとりやめたら責任をとれるのかって言われて、どうしていいのかわからなくて……」
問いかけに震える声で答えると、部長は「バカだな」とつぶやき大きく息を吐きだした。
「あんなやつの判断で、銀行が融資を取りやめるわけがないだろ。それにもしそうだったとしても、ひとりの社員が犠牲にならないと得られない利益なんて会社には必要ない」
毅然と言いきられ、自分が情けなくなって下を向く。すると、ぽんと頭をなでられた。
「……とはいえ、こんなに酔った状態じゃその判断もできないよな」
「す、すみません」
慌てて頭を下げたけれど、酔いのせいで足もとがふらつく。
部長はよろける私の肩を支えため息をついた。
「相当飲まされてるな。一緒にいた新谷はどうした?」
「新谷さんは、いつの間にかはぐれてしまって」
新谷さんは、私の先輩だ。
今日は新谷さんが銀行の桑井さんに頼まれて私を飲み会に誘ったらしい。
三人お店を出たあと、気付けば彼の姿が見えなくなっていた。