クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
部長の自宅のマンションに到着し、ごくりと息をのむ。
合いカギは持っているけれど、今日は使わずインターフォンを押す。
部長はすでに帰宅していて、すぐにドアを開けてくれた。
「突然どうした?」と少し困惑した表情で問われ、私は「すみません」と頭を下げる。
「いや。こんな時間にひとりで出歩くのは不用心だろ。連絡をくれれば迎えに行ったのに」
普段は会社からまっすぐに部長の家に来て、帰りは車で送ってもらっていた。
とはいえ今はまだ二十時過ぎ。
それなのに不用心なんて、父と兄におとらず部長もかなりの心配性だ。
「どうしても、聞きたいことがあって」
玄関で靴も脱がずに言うと、部長は首をかしげた。
「部長。私に隠していることはありませんか?」
お願いだから私にも事情を話して。そう願いながらたずねると、部長が眉をよせる。
「隠していること……?」
つぶやきながらも視線が泳ぐ。
いつも凛として堂々としている部長の表情が曇っていた。