クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


「あれはなんの話だったんなんですか?」

「いや、あれは」

「私には聞かせられない要件なんですか?」

「そういうわけじゃない」

「じゃあ……」

 必死に言いつのりながらも、鼻の奥がつんとして涙がこみ上げてきそうになる。

 会社が分裂しそうなほど深刻な問題を抱えているのに、事情も話してもらえないなんて。
 私はそんなに信用がないのだろうか。

 こんな関係のまま結婚したって、きっとうまくいかない。
 誰も幸せになれない。
 そう思って、私は背筋を伸ばした。


 ひとりの大人の女性として、毅然と堂々として見えるように。
 自分を奮い立たせ息を吐きだしてから、ゆっくりと口を開く。

「すみませんが、部長との結婚のお話はなかったことにさせてください」

 私がそう言うと、部長は目を見開いた。
                  

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