クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


 でも部屋の外にはほかに人がいるかもしれないし、ここがどこかもわからない。
 また叫んで殴られて気を失いたくない。

 恐怖で体が震えるけれど、なんとか冷静になろうと深呼吸を繰り返す。
       
「ほんと桑井もゲスいよなぁ」

 長髪の男が少し離れた場所でたばこを吸いながらそうつぶやく。
 私が視線をあげると、気の毒そうにため息をついた。

「あんた自分がこれからなにをされるかわかってる? 男に襲われてるところを動画に撮られんだよ」

 その言葉に目を見開く。
 恐怖で体が冷たくなった。

 好きでもない男に襲われるなんて、絶対に嫌だ。逃げないと……。

 そうは思っても、出口は長髪の男の背後にある扉ひとつだけ。
 私ひとりで逃げ出せるわけがない。
            

  
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