クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


「なにやってんだよ」

 そう言って入ってきたのは桑井さんだった。
 彼は私の前にいる茶髪の男を見て舌打ちをする。

「俺に無断で手を出そうとしてんじゃねぇよ」

「はぁ? なにその偉そうな言い方。俺たちの協力がなきゃなんにもできないおぼっちゃんが」
     
 茶髪の男がむっとしたように立ち上がって桑井さんを睨んだ。
  
「なんだと?」

「今までは我慢してたけどさぁ、俺たちにあれこれ命令してくるのむかつくんだよね。いつも自慢してたお偉い叔父さんにも縁を切られたんだから、お前もう利用価値ねぇよ」

「はぁ!?」

 言い合いをはじめたふたりを見ていた私は、茶髪の男のポケットにスマホが入っているのに気が付いた。
      
 うまくすれば、スマホを奪えるかもしれない。
 そう思って息を殺し慎重に手を伸ばす。
        
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