クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「お前、なにやってんだよ!」
その言葉に、桑井さんと茶髪の男の言葉の視線が私に向いた。
慌ててスマホを隠したけれど、茶髪の男が自分の後ろのポケットを手でさぐり空っぽの感触に顔色を変える。
「それ俺のスマホ!」
そう声をあらげたと同時に通話がつながった。
『もしもし』と低い声が聞こえ、私は慌ててスマホを耳に当てる。
まるで命綱にすがるように叫ぶ。
「部長……!」
『宮下か!?』
「お前、ふざけんなよ!」
桑井さんがものすごい形相で私の持っているスマホを取り上げようとする。
それでも必死に抵抗していると、電話の向こうから『宮下!』と私を呼ぶ声がした。