クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
『宮下、絶対に助けに行くから、大声で叫べ』
力強くそう言われ、思いきり息を吸い込んだ。
たぶん、こんなに大きな声を出したのは生まれて初めてだと思う。
「助けて――……っ!!」
体を折り曲げるようにして全身で叫ぶ。
大きく口を開いたせいで殴られて切った唇がじくじくと痛んだけれど、そんなことにはお構いなしで必死に叫んだ。
「黙れ!」
私からスマホを取り上げた桑井さんはこぶしを握り手を振り上げる。
また殴られる。
そう覚悟してぎゅっときつく目をつぶったとき、大きな音をたて乱暴に扉が開いた。
「宮下っ!」
いとおしい人の声に、顔を上げる。
そこには南部長がいた。