クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「宮下が男たちに連れ去られたと聞いて、ものすごく後悔した。ごまかさないできみの質問に全て正直に答えればよかったって。そうすれば、きみは常務のところへ行こうとしなかったし、こんな目にあわずにすんだのに。臆病で卑怯な俺のせいでこんな怖い思いをさせてしまって、本当にすまない」
「部長……」
私の肩に顔をうずめて懺悔するようにつぶやく。
その指先も腕も振るえていた。
心から心配して必死に探してくれたのが伝わってきて、胸がいっぱいになった。
「今なら話してくれますか? どうして父や常務が対立していたのか」
私が問いかけると、部長が顔をあげうなずく。
そして父や兄、久住常務に目を向けると、彼らは気まずそうに顔を見合わせていた。
「あら、あなたたち対立していたの? 一体どうして」
母の言葉に父が「それは」と言いづらそうに口を開いた。
「社員旅行の行き先で……」
「社員旅行?」
予想外すぎる理由に、私はきょとんと繰り返す。