クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました


「好きでもないのに、結婚するわけないだろう」

「ほ、本当ですか?」

「本当だ。好きに決まってる」

 力強く言われ、ぶわっと頬に熱が集まる。

 部長は本当に私を好きでいてくれているの? でも、そうしたらどうして……。

 まだ心の奥に残る疑問を口にする。

「それなら、どうして私に手を出さないんですか? お泊りしたいって言っても断るし、キスもお願いしたらしぶしぶ触れるだけのキスをしてくれるだけだし。私に魅力がないからですか?」

 そうたずねると部長は「ぐっ」と言葉につまった。
 それでもじっと見つめていると、観念したように口を開く。

「それは、最低でも三か月は清い付き合いをしろと社長に言われて……。必要以上に触れると理性がきかなくなりそうだから、必死に我慢していたんだ」

 苦渋の表情を浮かべた部長を見て、母が父を振り返った。

「あなたがそんな命令をしたの?」

 みんなの視線が父に集まる。
 すると父は不貞腐れたように頬を膨らませた。
                     

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