クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

 恵介さんの妹の花緒里さんは、きっと私よりも年上だろう。

 スタイルのいい長身に、背中のあたりまである綺麗な黒髪。
 意志の強そうな切れ長の瞳と少し薄めの唇がとてもきれいでクールビューティーという言葉がぴったりの美人さんだ。

 そんな彼女に無言でまじまじと見つめられ、私は思わずたじろぐ。
 冷や汗をかきながら花緒里さんに向かって「花緒里さん、はじめまして」と会釈をしてみると、彼女の目がぱぁぁっと輝いた。

 両手で口元を押え、感極まったようにぷるぷると小さく震えだす。

「こ、こんなかわいい子が、兄さんのお嫁さんになるなんて……っ」

 あれ、なんだか様子がおかしい。
 そう思っていると、花緒里さんは口をおさえたままなにかをぶつぶつとつぶやきはじめた。

「くりくりの大きな目に柔らかそうな白い頬にさらさらの髪の毛……。ものすごく華奢で小柄だし肩は細いし手は小さいし、なんて愛らしいの……」

 どうやら私を観察しているようだ。
 熱い視線に見つめられどうしていいのかわからなくなる。困惑して隣にいる恵介さんの顔を見上げると、彼はうんざりとした表情を浮かべていた。


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