クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
「花緒里、落ち着け」
恵介さんは、瞬きもせず食い入るようにこちらを見つめ続ける花緒里さんの頭に、手刀を振り下ろす。
頭をたたかれた花緒里さんは、ようやく正気をとりもどして恵介さんを睨んだ。
「こんなの落ち着いていられるわけがないでしょう……!? こんなかわいい子が私の義理の姉になるのよ?」
花緒里さんの言葉に、ご両親の鼻息も荒くなる。
「そうか! 恵介と結婚したら、遙ちゃんが私の娘になるんだな!」
「うれしいわぁ! うちはみんなそろって背が高くて威圧感があるから、こんなかわいい遙ちゃんが家族になってくれるなんて」
どうやら私を歓迎してくれているようだ。
拒絶されているわけじゃないと知ってほっと胸をなでおろす。
すると隣に立つ恵介さんが申し訳なさそうにこちらを見た。
「悪い。うちの家族は小さくてかわいらしい人が大好きなんだ。みんな無駄に背が高いから、ないものねだりだな」
「そうなんですね」
「遙に会ったらみんな絶対に浮かれて大騒ぎすると思って、紹介するのをためらっていたんだ。うちの家族が怖いからって遙に結婚を断られでもしたら大変だから」
なるほど。だから私をご家族に会せるのを渋っていたんだ。