クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました
期待に胸を膨らませて出社する。
入社式を終え配属された財務管理部に行くと、部長の席に座る恵介さんを見つけた。
大学時代の彼もすごくかっこよかったけれど、八年たって大人の色気と余裕を身に着けた彼はくらくらするほど魅力的だった。
長身に引き締まった体つき。
切れ長の黒い瞳にすっと通った鼻梁が涼しげな端正なお顔。
初恋は美化されるなんて言うけれど、スーツ姿の彼は私の記憶よりも何倍も何倍も素敵だった。
中学時代、恵介さんの顔を見るたびに私は無邪気に何度も好きと告白し、そして毎回玉砕していた。
その経験をちゃんと生かして、落ち着きのある大人の女性になったところを見せなくては……!
そう意気込んでいたのに、実物の恵介さんを目の前にした私はときめきすぎて言葉が出なくなる。