クールな部長の独占欲を煽ったら、新妻に指名されました

 好奇の視線にさらされ、桑井さんの表情が険しくなった。

「なにその態度。俺を信用できないの?」

 今までよりもずっと低い声だった。
 感情を押し殺すようにな口調に、じわじわと恐怖がこみあげてくる。

「俺はさっきから、書類を取りに行くだけだって言ってるじゃん。俺が嘘をついて遙ちゃんをホテルに連れ込もうとしてると思ってんの?」

「いえ、あの……」

「俺は女の子をひとりでこんな場所で待たせるなんて危ないから、親切で部屋においでって言ってあげてるのに、疑うなんて失礼じゃねぇ?」

「すみません、そういうわけじゃ」

「じゃあ、うだうだ言ってないでだまってついて来いよ」



 手首をつかんだ指には、痛いくらい力がこめられていた。
 まるで意思のない人形を振り回すような乱暴さで、私の体を自分のほうへ引き寄せる。


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