全ては君の思うまま
なんだこの状況は。
付き合ってる感じじゃないか。

なんだよ。1日だけじゃなかったの?
もう、本当に混乱。

「ねえ、言っておくけど私の住んでるところ、鷹野のリビングより狭いからね。庶民なめるな、覚悟できてるの?」

自分で言ってて、あ、なんでこいつを部屋にいれる前提で話が進んでるんだか謎。ちがうちがう。1日だけって話じゃないのかってそこでしょ。

「別に。俺は寧々さんと一緒にいたいだけだから」

純粋なのか、バカなのか。
鷹野の攻め方にいい加減慣れればいいのに、いちいち言葉を失う、愚かな私…。

「ここ」

とうとうアパートの前まで来てしまって鍵を開けようとしている。ん?家を知られるってことは、こいつこれからもここに来てしまうんじゃない?!

しまったと思うのと、鍵があいたのが同時で、深い深い落胆を覚える。

半分泣きたくなりながら、狭いうちの中へご案内する。まず、座ってください、そしてあんまり部屋の中をキョロキョロすんなと、もう私言葉を失くしそうです。

キッチンは対面式でリビングとつながっている。テーブルが真ん中にひとつあってその向こうにベッド。ソファはあるけど、2人がけのもので本当に何から何まで庶民的。

キッチンに出しっぱなしだった割引の惣菜をどうしようか考えながら、

「なにか飲む?それともお腹すいた?」
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