全ては君の思うまま
惣菜をお皿に盛り直して、温める。
ワイングラスが2つと、お総菜盛り合わせ(揚げ物多め)。彼のワインとチーズケーキ(有名なおみやげ)と高そうなエビがのったサラダ。

コルクのワインは彼が開けてくれて、とりあえず乾杯する。今回はその地域の四大ワイナリーの中の新酒と賞をとった白の二本。

「もっと怒ってるかと思ってました」

ワインに口をつけようとすると、彼が謝ってくる。このタイミングで言われたら、怒るに怒れない。

「いきなりうちに来ちゃうし、生島さんには付き合ってるって言うし。正直、怒ってるというか…」

考え込む私に

「だってそうでも言わないと、今日だって会えなかったでしょ?」

ぎくっ。そうだね、その通り。

「俺は寧々さんと付き合ってるつもり。誰がなんと言おうと。寧々さん、そんなに俺のこと嫌い?」

嫌いときたか。聞くなよ、そんなこと。
もう。ピュアすぎ。

「嫌い…でもない。でもこのまま好きになってもいいのかなって。思ってます」

ワインを一口飲む。
この状況を一瞬忘れそうになるほどワインがおいしくて、ちょっとびっくりする。

「ちょっと、真剣な話してるときにワインがおいしくてびっくりしたでしょ?」

うっ。バレてる。

「はい、あーん」



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