全ては君の思うまま
自分のこういうところが本当に嫌になると思うんだけど、電話の後、営業所で使っていた資料を段ボールの奥から引っ張り出す。

茹ですぎてしまったパスタに出来合いのソースをかけてからめる。それに昨日開けたワイン、色は白を添えて。

こんなの手料理とも呼べないし、鷹野が食べるレベルのものなんてうちにはございませんよ、と本気で思う。

鷹野のことは別として、資料はちゃんと仕事として渡す。渡せとは言われてないけど、聞かれたときに何かの役にたてば。

これ、私の悪い癖なんだよな。そこまでサービスしなくてもって言われるときもある。私もここまでやらなくてもな、とは思うけど後々その人が困ってしまったとしたら後味悪いし。

確かあのお店になら取り扱いがあるかも、と店の名前を鷹野に知らせておく。持っている資料は明日渡すから、と簡単な業務メール風に。

それからしばらくして、鷹野からそのワインの写真が送られてきた。ありがとうございますと件名に書かれていて、こいつも仕事一筋だな、と苦笑してしまった。
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