極上旦那様ととろ甘契約結婚
卵焼きを口に入れつつ微笑むのが止められず、ゆるく口角が上がるのを自覚していると、向かいで彼女もこっそり微笑むのが見えた。

成美はよく俺を観察している。

食事の時は料理の好き嫌いを確認したいのだろうと思うが、俺がネクタイを結んでいる時にも見つめているのはどんな理由なのか。
よく理解は出来ないが、とりあえずこっそり観察するその様子がやたらと可愛いので、見られているだけなのに嬉しくて、かなりの頻度でニヤついてしまう。

つまり、朝の慌しいひと時だけでも、俺は毎日彼女が好きでたまらないと自覚しているのだ。

いっそ、この抑えきれない愛しさの勢いのまま、抱きしめてもいいだろうか?

つい数日前にお互いの気持ちを確認しあって両思いになった夫婦なのだから許される筈だ、とは思う。

正直、成美が拒まない自信もあるが、それと同じくらい初心な彼女が驚いて固まる確信もあるので行動にはまだ移していないけれど。

あの時の成美の涙や心配そうな青い顔を思えば決して口には出来ないけれど、互いに相手の事をこれ以上ないほど大切だと確認出来た事を思えば、過労で倒れて良かったと思う気持ちもある。

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