極上旦那様ととろ甘契約結婚
言いながら、自分でも「こんな無茶苦茶な言い訳有り得ないわー」と内心引いていたが、この場を取り繕いたいのと何をしていたのか知りたいという興味が相まってベラベラと言葉が止まれない。
視線の先で修吾さんのリアクションがないから、尚更だ。

「あのっ、じゃあ、帰ります。その、お邪魔しましたー」

それでも言い終えて、今度は羞恥の気持ちが強くなって私が返事も待たずに逃げる事を決めた時、目の前の修吾さんの表情が変化した。

「くくっ……覗きを失敗して、その無茶苦茶な言い訳で逃げ出すとか……ほんと、面白い……」

ぶつぶつと呟く口元は大きな手でしっかりと隠されているけれど、それ以外の見える部分が真っ赤だ。視線は逸らされているし、耳はより一層赤い。

「ーーー修吾さん、もしかして笑ってます?」

小刻みに震え出した肩にそおっと問い掛けてみると、我慢できないとばかりにバンバンと机を叩いて笑い出した。

「はははっ……『もしかして笑ってます?』とか、面白すぎて……くくくっ」

完全にツボに入ったらしい。それを見ていて、なんだか私も笑えてきた。

「ふふっ、確かに。さっきから変な事いってますね、私」

< 50 / 133 >

この作品をシェア

pagetop