極上旦那様ととろ甘契約結婚
ちなみに修吾さんが使っている部屋は寝室と、机と大きな本棚がある書斎の二つある。そして今明かりがついているのは書斎の方。私も何度か一緒に入って本を貸してもらった事があるあるけれど、有機物の入り込んでいない古書店みたいな匂いでとても落ち着くお部屋だ。

壁一面に整然と並んだ本の前で見せる真摯な横顔は職場で見せていたのと同じものだし、やはり仕事なのだろうか。好奇心のせいで無意識にもう一歩足を進ませた時、

「うわぁっ」

「っ!」

思いの外軽かった扉のせいで、私はつんのめるように前へ転がり出た。

その気配と声に驚いた修吾さんは顔だけこちらに向けたまま、固まっていたが、数秒後に持ち直したらしく、戸惑い気味に声をかけてかけてくれた。

「ーーー大丈夫、か?」

「あ、は、はい。……すいません、驚かせて。あ、なんだか明かりがついてるなぁーって思って覗いたら修吾さんがいて。あ、でも覗くつもりはなかったんですよ!ただ、真面目な顔してるから不思議で。だってほら、修吾さんは仕事を持ち帰らない主義だし、でも雰囲気は仕事してるっぽいし。あ、覗いたんじゃなくて、見えちゃったんですけど……」


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