極上旦那様ととろ甘契約結婚
新卒で入ったブラック企業で働いて、一時期洗脳状態になった事。その会社から逃げ出すときにアパートも携帯も一旦全部解約して、消息不明になる形でやっと逃げられた事。その時に精神的に辛すぎたからか、今も当時の記憶がない事。後日、それと一緒に昔の記憶も抜け落ちてしまった部分があると気付いた事。
「落ち着いてから病院にも一度行ってみたんですけど、ストレスとか精神的なものが原因の記憶の欠落はどうなるかケースバイケースらしくて」
仕方ないんですよね、と小さく笑ってみせる事しか出来ない。
「忘れちゃった記憶も母が死んだ後半年位の間の事が多いんです。きっとその頃も大変だったから、もしかしたら気付かなかっただけで前から記憶欠けてたかもで。それにね、欠けてるかどうかも確実には分からないんですよ。だってほら、元々あったかどうかすら分からないでしょ?」
「ーーー記憶を失ったかも分からなくて、何かがあったのかなかったのかも分からないのか。それは不安、だな」
「っ!」
びっくりした。まさか、他の人が私の不安の正体を正確に解ってくれるなんて思った事がなかったから。それを指摘されると思わなかったから。
記憶がないのは本当の不安じゃない。それより怖いのは自分がどんな経験をしたのか分からない事だからだ。
「落ち着いてから病院にも一度行ってみたんですけど、ストレスとか精神的なものが原因の記憶の欠落はどうなるかケースバイケースらしくて」
仕方ないんですよね、と小さく笑ってみせる事しか出来ない。
「忘れちゃった記憶も母が死んだ後半年位の間の事が多いんです。きっとその頃も大変だったから、もしかしたら気付かなかっただけで前から記憶欠けてたかもで。それにね、欠けてるかどうかも確実には分からないんですよ。だってほら、元々あったかどうかすら分からないでしょ?」
「ーーー記憶を失ったかも分からなくて、何かがあったのかなかったのかも分からないのか。それは不安、だな」
「っ!」
びっくりした。まさか、他の人が私の不安の正体を正確に解ってくれるなんて思った事がなかったから。それを指摘されると思わなかったから。
記憶がないのは本当の不安じゃない。それより怖いのは自分がどんな経験をしたのか分からない事だからだ。