never (上)
涙が頬を蔦る感覚に目が覚める。
あぁ…やっぱり…私の中で貴方は大きい存在…。
貴方のことで涙が出るほど。
だけど…今、私の手を握ってるのは貴方じゃない。
「…………柚莉?」
私を見つめるのは…………貴方じゃない。
何故、顔を見るだけで心が満たされるの…?
「……榊さん」
ギュッと手を握る。
その瞬間ゆっくりと涙が止まった。
「気分はどうだ?」
あぁ……そんなに心配そうな顔しないで……。
心が痛くなる。
「もう…大丈夫です」
「そうか……」
「ここは?」
全体的に黒で染められたような部屋。
私が寝ている布団も黒でとてもフカフカしている。
「俺の部屋だ」
えっ!?
榊さんの部屋!?
「わわわっ!すみません!!」
榊さんのベッドに寝てたなんて……。
「どうしてだ?」
「いえ……なんとなく」
言葉にするのは難しいけど……無性に恥ずかしい 。