幸せの扉を探して

今日は、ドイツの小さな街の教会で
ピアノを引く。
瞳子は、自身の仕事が忙しくないときは
ボランティアでピアノを弾いている。

綺羅びやかなドレスではない
ドレスを着てピアノの椅子に座る。

30から40人の子供から大人まで
待っていてくれた。

瞳子の奏でるピアノは、
プロなみだ。

誰もが、瞳子のピアノに
惹き付けられていた。

五曲を弾き終り
ドレスから普段着に着替えて
神父様に挨拶をして
教会をでると・・・・




‥つぅ‥‥麗⋅⋅⋅‥音‥‥‥さん‥‥?‥



花束を持った麗音が立っていた。
麗音の瞳は、儚げで悲しそうに見えた

「‥‥瞳子‥素晴らしいピアノだったよ。」
と、言いながら花束を差し出してくる。

瞳子は、それをしばらく見詰めて
「‥‥‥ありがとう‥‥ございます‥‥」
と、言って受けとると
そのまま 麗音に抱き締められた。

麗音にとって、
自分はただの金づるでしかない
と思っている瞳子。

悲しいけどこれ以上、
自分の中に入って欲しくなくて
麗音の胸を押し返すが
麗音は、ことさらに力を込めて
瞳子を抱き締める
「‥‥やめ‥‥てっ‥‥わたしは‥もう‥‥
 あなたのお店に利益をもたらすことは
 ありません。
  ‥‥‥‥‥‥離れて下さい。」
と、言うが、麗音は首をふりながら
「···瞳子‥‥‥愛してる‥‥」
と、瞳子に伝えてくる

「嘘っ‥私は‥誰からも‥愛されない‥‥」
「嘘じゃない。俺は瞳子を愛してる。
ずっと、瞳子が、
また俺に会いにくるのを待っていた。
だが、瞳子は現れなかった。
そのうち、瞳子が日本を離れたと
聞いて、捜したんだ。」
と、言われて
びっくりした瞳子は顔を上げて
麗音を見た。

麗音の瞳は、真剣で嘘をついているように
見えなかった。
「本当に?だって、麗音さんは
私ではなくても、優しかったじゃない。」
「瞳子に妬いてほしかったから。
それに、俺は誰でも抱かない。
瞳子だから、あの時、抱いたんだ。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「瞳子は、俺に気持ちはないのか?
ないのに、抱かれたのか?」
「そんな‥‥こと‥ないっ‥‥
私‥‥‥も‥‥麗音さんが‥‥すきっ‥‥」
と、言うと麗音は瞳子の涙を拭きながら
優しく瞳子にキスをした。

回りにいた人達から
冷やかされて
二人は、笑いあい
皆さんに挨拶をして
その場から離れた。

「麗音さん、いつドイツへ?」
「昨日だよ。」
「ご用は?」
「瞳子に会いにきただけ。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
真っ赤になる瞳子に
「瞳子っ、可愛い。」
と、チュッとする麗音に
ますます、真っ赤になる瞳子だった。
「このあと、何かある?」
と、麗音に聞かれて
翻訳の仕事も昨日終わらせていたから
何もないと答えると
「食事にいこう。」と言われたから
「作りましょうか?」
と、言うと麗音はびっくりしたが
「是非。」
と、言うから
一緒に瞳子のアパートメントに
帰った。

帰りついてから、家に誘うなんて
大胆な事をしたと、恥ずかしくなった。

瞳子を見て
「瞳子、変わったね。
日本にいた時より、ずっと素敵だよ。」
と、言う麗音

瞳子が食事の準備をしている間に
麗音は、瞳子のピアノの部屋をみたり
瞳子の仕事場をみたりしていた。

麗音もピアノを少し弾けるから
ピアノを弾いてみる
ジャズだ・・

瞳子は、初めて聞く麗音の音色に
嬉しくなりながら料理を続けた。
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