あの日の空にまた会えるまで。
「分かんないよ…」
姿を消した彼の人が、何の前触れもなく突然に目の前にいたんだよ。
しかも、あの頃のように私の名前を呼んだ。
真央の言うように裏切ったままでいてくれたならどれだけ楽だっただろう。こうして思い返すことも、こうやって心の中が掻き乱されることもなかったのに。
「……葵」
ふと、真央の優しい手が頭に乗ったのを感じた。
「ごめん、葵。あんたも今いっぱいいっぱいだもんね」
「……」
「私はね、葵」
「……」
「あんたには笑っていてほしいの」
ハッとして顔を上げた。
「葵は変わったよ。もっと器用に生きていける子だった。辛いことは辛いと声に出して、楽しくても悲しくても泣ける子だった」
「っ…」
「私は、内気になっちゃったそんな葵をずっと見てきたんだよ。だからこそ、笑っていてほしいって思う」
「…ま、お」
「ーーーもう、泣いてほしくないよ」
心の中で、と最後に言われる。
泣きたくても泣けなくなった自分を、真央はずっと見てきたんだ。真央だけじゃない。悠斗も、涼先輩だって。
「……ありがとう、真央」
いつか、返せるだろうか。どんな形で返すことができるのだろうか。この降り積もる感謝の恩を、どんな形で…ーーー
あの頃の自分を取り戻したら、みんなは笑ってくれるのだろうか?
心配ばかりかけてきたから、いつか恩返しができたらいいなと思う。
「ーーーありがとう」
再度繰り返した言葉に、真央は眉を下げつつも優しく笑ってくれた。
その時、自身のポケットの中で震える携帯に気付いた。