あの日の空にまた会えるまで。
「悠斗と戻れなくなっちゃうよ!?」
「戻る気ないって言ってるじゃん」
「春可愛いんだからね!」
「知ってるよ。春ちゃん可愛いよね」
だから悠斗が春ちゃんを好きになったとしても理解できる。春ちゃん可愛いもんね。逆に春ちゃんが悠斗を好きになったときは春ちゃんにはもったいないって思っちゃう。
あんな可愛くて良い子に悠斗みたいなお調子者は勿体ないよね。
でもよく考えてみれば、そんなお調子者の悠斗だからこそ、しっかりしてる春ちゃんの方が合うのかも。
「……本当に何にも思わないの?」
真面目なトーンになった真央に、私は小さく溜め息を吐いた。
「私たちはもうとっくに別れてるんだよ。恋愛感情なんて1ミリも残ってないし、なんだったら私、2人を応援するよ」
「でも、」
「悠斗が春ちゃんを好きなら早く告白しろって背中を押すし、春ちゃんが悠斗を好きなら相談だって乗る。2人がくっつけるようにって私頑張る」
悠斗にも春ちゃんにも幸せになって欲しいとは思う。
例えば、もしそれで元恋人である私が邪魔な存在になってしまうのだとしたら、私は躊躇なく悠斗とは縁を切るだろう。春ちゃんにとって私はそんな存在だ。私が2人の障害物になるのなら、縁を切ることに躊躇いや疑問など微塵もない。
それほどに悠斗に対しては何もないのだ。気心の知れた仲ではあるけれど、恋愛感情なんて欠片もないし、友だち以上の気持ちさえない。
「……ねぇ、真央」
そして真央がいつまでも悠斗との仲を取り持とうとしてくる訳も、私は知ってる。
「真央がそれを言ってくる理由、奏先輩でしょ?」
「なんで?」
まさかの質問を質問で返される。
「なんでって…私がいつまでも奏先輩を引きずってるから?」
「……分かってんならなんで諦めないのよ」
肩肘をついて呆れた様子でこちらに目線を向けてくる真央に、私は苦笑した。
どうして、諦めないのか…か。