あの日の空にまた会えるまで。
「……はい、大丈夫です。ありがとうございます」
「じゃあ、戻ろうか」
歩き出した奏先輩の後ろをついて歩く。…とすぐに奏先輩が振り返った。
「後ろだと何かあってもすぐに助けられないから、横来て」
「あ、はい」
慌てて奏先輩の横に並ぶ。携帯のライトを頼りに私たちは歩き出した。
「俺さ、今来たばっかりなんだ」
「え?」
「用事があってBBQは参加できなくて、コテージに向かってる途中、肝試し中のあおちゃんたちがいて」
「そうなんですか」
どうりで昼間、会わないわけだ。そもそも奏先輩はいなかったってことなんだから。
「ねぇ、あおちゃん」
「はい?」
「肝試し終わったら、どこかで会えない?」
「え…」
「話、したくて」
ーーー謝罪の言葉を聞いてやって欲しい。
話を聞いて、それから答えを出して欲しい。
蓮先輩が言っていたことを思い出して、妙に気持ちが強張ってしまう。どんな真実がやってくるのか、わたしには想像もできない。
「……はい」
ホッとしたように笑う奏先輩に私は苦笑した。
話を聞くと決めてここに来た。大丈夫。それがどんなに苦しい真実でも、逃げないと決めている。それだけは違えたりしない。
「じゃあ、第一コテージの前に休憩所があったでしょ?俺ここ来たことあるから知ってんの。そこで待ってる」
「…分かりました」
それからは特に大した話もしなかった。奏先輩が気遣うように喋って私が相槌を打つ。真央たちがいる場所に戻るまでずっとそんな感じだった。
ただ、奏先輩と隣に並んで歩くその光景は、とても懐かしかった。
まるであの頃のように、だけど想いだけは置き去りのままで時間だけが過ぎた私たちが、其処にいた。