擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー

 長く艶やかな髪。興味があるものを目にするとキラキラ光る綺麗な瞳と笑うと右側だけえくぼができる愛らしい顔立ち。

 華奢な体にほどよい丸みを持った魅惑的な体つき、すべてが雄大の好みそのもの、どストライクの女性であった。

 それだけでなく亜里沙の親しみやすい性格は雄大の心を和ませた。

 休暇中も仕事一辺倒だった自分をスマホを壊すことで開放し、観光案内では心から楽しませてくれた。

 まあ、スマホが壊れたのは自分が投げ捨てたせいでもあるのだが。

 それを除外しても常に計算高い女性に囲まれている雄大にとって、亜里沙のような純真な心を持つ女性には、仕事を持ってより今まで出会ったことがない。

 なにより『リレリパージュ』に宿泊できるほどの人物だと知って、仕事も家柄もなにも問わなかった女性もはじめてだ。

 多くの女性が欲望に満ちた目で見つめてくるのに対し、彼女は逆の反応を示した。

 しかしまったく雄大に興味が無いわけではないようだった。

 手を握れば恥ずかしそうにうつむき、笑いかければ少し頬を染める。

 そんな彼女に心がころりと傾くのは仕方がないことである。ちょろい男といえばそれまでだが、惚れたのだからしょうがない。

 だから昨夜は自分の身の高ぶりすべてを華奢な体に注ぎ、胸の中にある情熱を伝えきったのだった。

 応える彼女も同等の思いを自分に抱いていた筈だ。


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