こんなにも愛しているのに〜それから

俺と茉里は
同じ大学とはいえ
学年も学部も違い
広いキャンパスの中ですれ違うことも
ないはずだった。

これまで
散々振り回してくれた
小学校からの腐れ縁の林田、
当時の彼女が
茉里の親友
理恵さんだった。
ほんの数ヶ月だけの彼女だったが。

林田と理恵さん
連れの俺と茉里。
茉里は林田にも俺にも
興味がなさそうだったが
彼女がいつも読んでいる本や
彼女の趣味の話などを持ち出して
会話ができるようになった。

そうだ。
一目惚れだった。

そういうと純情な青春時代を
送ってきたような言い方だが
実際は
’付き合ってください’
と言われ
何人かの女の子達と付き合ったことはある。

こういう子は好きだな、
と思ったこともあるし

ああこの子は自分の好みではないな
なんて何様かという思いを
抱いたこともある。

ただ
ほとんどの
女の子達は付き合っていると
もっと
もっと
と思うらしく
もっと会いたい。
もっと話したい。
もっと抱いてほしい。。。
と
ほぼみんながそういう状態になってきて
結局は
’私のこと大事じゃないのね。’
’思っていた人と違う。’
と
自己完結したようにして
振られてしまうのがオチだった。

そのことが
自分にとって
痛くも痒くもなかったのは
きっと
いい加減な付き合いしか
してこなかったからだろう。

本当に
女の子と付き合うのは面倒だと
思っていた頃に
茉里と出会った。
今を逃したら
この先茉里と会うことはない。
と幾分焦った気持ちで
茉里に付き合ってくれと申し込んだ。

初め
茉里は俺との交際を渋り
そこを粘って幾度となく
願いを繰り返し、
返事をもらうまで緊張をしたのを
覚えている。

茉里と付き合うことができるようになって
俺は
一途に彼女を大事にしてきた。
間違っても二股をかけたり
林田がしつこく誘っても
合コンにも行かなかった。