離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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翌日の土曜日。百々花は千景に連れられ、静謐な住宅街にある彼の実家へやって来た。
白い半袖ニットに濃紺の膝丈スカート。気張り過ぎず、ラフでもない無難な格好は、昨夜ネットでリサーチした〝彼の家へのお呼ばれスタイル〟を参考にした。
どっしりとした平屋建ての家は、街の喧騒から隔絶された高級旅館のような静かな佇まいだ。
車から降り立った百々花の口から漏れるのは、感嘆のため息。百々花の実家が三つは入ってしまいそうなほど大きい。
千景の父親は妻を亡くし、千景が家を出てからずっとひとりで暮しているそうだ。通いの家政婦はいるそうだが、夕食の準備を終えたら帰るため、ほぼひとりと変わらないらしい。
そこからふと庭へ目を移して、思いのほか荒れているのに気づく。これだけ立派な家なら、それなりに庭も手入れが行き届いそうなもの。それが、木は枝が伸び放題、花壇は枯れた花の残骸が散らかっていた。
どうしてこんな状態のままにしているんだろう。
草花を仕事にしているから余計なのか、なんとなく寂しい気持ちになる。
玄関へ続く石畳で足を止めていると、千景が振り返った。
「百々花、行こう」