離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「こ、こんばんは」
まばたきもせずに挨拶をすると、千景がふっとその表情を崩す。
「取って食べたりするわけじゃないから」
百々花の頭の中を読んだかのようなひと言に驚かされる。
「あ、いえっ……先日は靴を届けてくださりありがとうございました。コーヒーでもどうですかなんて誘っておきながら接客に夢中になって、本当に申し訳ありません」
「いや、お客様を相手にする以上、当然のことだよ」
ふわっと微笑んだ顔に目が釘づけになる。威圧感とのギャップに心臓がドキッと跳ねた。
「ありがとうございます」
慌てて頭をぴょこんと下げる。
「仕事は終わり?」
「そう、ですね。ただ一ヶ所寄らなきゃならないところがあって」
「じゃ、乗せてくよ」
「いえっ、とんでもないです!」