離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

シュプリームウエディングが入居するタワービルの二十七階。
千景は、一ヶ月後にそのチャペルで開催するウエディングフェアの運営事務局との打ち合わせを行っていた。


「フラワー系の装飾は、『花ビジョン』にお願いする方向で調整を進めてまいります」


プロジェクタースクリーンを使い説明するチームリーダーの田原(たはら)(とおる)は、前回開催したときに撮影した装飾関連のフォトショットを表示させた。
花ビジョンは、千景が会社を立ち上げた当時からブライダルフラワーを担当している会社である。


「それなんだが、じつは試してみたいフラワーショップがあるんだ」


千景は軽く手をあげ、説明途中の田原に提案した。
ミーティングルームがわずかにざわつく。
これまでに二社購買せず花ビジョンの独占状態だったため、社員も戸惑ったのだろう。


「新規ということですか?」
「ああ。今回は会場装花はもちろんエントランスから会場入口までのアプローチの演出、すべてをアリアシェリーというフラワーショップにお願いしてみたいと思う」
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