離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

千景は秘書の山下(やました)美園(みその)に合図をし、事前準備しておいたアリアシェリーの企業情報を出席者たちに配った。
そこには店主の許可を取り、先日、百々花が仕事帰りに立ち寄った地中海レストランのグリーンコーディネートの写真も添付してある。

企業規模としては花ビジョンより小さいが、契約を結んでいる店舗や企業からの評判は上々らしい。
百々花が手掛けた写真を見れば、彼女のセンスがよくわかる。


「なかなかいいですね」
「田原もそう思うか」
「はい。影を使った演出なんておもしろいじゃないですか」


やはりそこに目を引かれるのだなと、千景はうなずいた。


「それを手掛けたフローリストにはおおまかな話はしてあるが、詳細はまた後日となっている」
「わかりました。それではその方向で詰めてまいります。打ち合わせの日程は、こちらで組みましょうか」
「いや、私のほうでセッティングするからいい」


田原は「承知いたしました」と次の話題に移った。
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