離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「聞いてる?」
固まったままの百々花に、千景はテーブルに身を乗り出して確認した。
「ごめんなさい。変なふうに聞こえちゃって。結婚、とかって」
「そうだよ。正確に言えば、まだ届けを出してはいないけど」
記入すべきところはすべて埋め、押印までしてある。弁護士の美咲も太鼓判を押すほど完璧な婚姻届だ。このまま役所に持っていけば受理される。
「……はい?」
首を傾げた百々花に微笑みながら立ち上がり、千景はソファに置いてあったバッグから薄い紙のようなものを取り出した。
それを百々花の目の前に広げる。もちろん婚姻届だ。
彼女は用紙を前にして放心状態だった。
「記憶が定かじゃないようだから、もう一度言うよ」
「えっ、あの!?」
百々花の横にひざまずくと、彼女は椅子に座った状態で飛び跳ねた。
驚きを全身で表現する百々花が、とてもかわいらしい。
「百々花、俺とこの先の人生を一緒に歩いてほしい。結婚しよう」
膝に置いていた百々花の手をとり、その手にそっとキスをした。