いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
ショールームの広い敷地内を軽く流したあと、安藤部長はご機嫌な様子で車のキーを店員に返却する。
「よし、決めた。これにしよう」
安藤部長はこの車がたいそうお気に召したようで、他の車と乗り比べることもなく即決した。
この人は悩むと言うことを知らないんだろうか。
きっと私と結婚したのも同じようなノリだったに違いない。
「真央、どの色がいい?」
安藤部長は店員が開いて見せたパンフレットを指さしながら楽しそうに尋ねる。
「私はどれでも……」
「どれでもが一番困るんだろ?」
たしかにそれは私が言った言葉だ。
まさかこんなところでそのまま返されるとは思わなかった。
「えーっと……そうですね、ワイルドな黒がお似合いだと思います」
本当は何色だっていいけどと思いながら、とりあえず無難にそう答えると、安藤部長は嬉しそうに笑って「黒にします」と店員に告げた。
適当に答えただけなのに、そんなに嬉しそうな顔をされると少し申し訳ないような気がする。
それから安藤部長は車の購入や保険加入などの手続きをして、私はその隣で店員が出してくれたアイスコーヒーを黙って飲んだ。
「よし、決めた。これにしよう」
安藤部長はこの車がたいそうお気に召したようで、他の車と乗り比べることもなく即決した。
この人は悩むと言うことを知らないんだろうか。
きっと私と結婚したのも同じようなノリだったに違いない。
「真央、どの色がいい?」
安藤部長は店員が開いて見せたパンフレットを指さしながら楽しそうに尋ねる。
「私はどれでも……」
「どれでもが一番困るんだろ?」
たしかにそれは私が言った言葉だ。
まさかこんなところでそのまま返されるとは思わなかった。
「えーっと……そうですね、ワイルドな黒がお似合いだと思います」
本当は何色だっていいけどと思いながら、とりあえず無難にそう答えると、安藤部長は嬉しそうに笑って「黒にします」と店員に告げた。
適当に答えただけなのに、そんなに嬉しそうな顔をされると少し申し訳ないような気がする。
それから安藤部長は車の購入や保険加入などの手続きをして、私はその隣で店員が出してくれたアイスコーヒーを黙って飲んだ。