いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
適当に選んだその車は、ここに並んでいるミニバンの中でも一番高い車だ。

『カッコいいし』って、ミニカーを買うのとはわけが違うのに、そんな選び方でいいのか!

「あのー……もうちょっとよく考えた方がよろしいのでは?」

「うん?俺は細かいことは気にしないタチなんだ。車なんて乗れればいいし、こういう買い物ってインスピレーションが大事だろ?」

普通、インスピレーションで車を選ぶかな?

燃費の良さとか車の性能とか、車内の快適さとか、いろいろと選ぶポイントがあるのでは?

そんなことは車のことをよく知らない私でもわかる。

それに乗れればいいと言うなら、もっと安い車でもいいんじゃないだろうか。

だけど車を買うのも運転するのも、管理するのも安藤部長だから、本人がいいと思うものを選べばいいわけだ。

お飾りの妻である私が……いや、たいした飾りにもならない私なんかがとやかく言うべきではないと思い直し、黙っておくことにした。

それから店員に『試乗してみませんか』と促され実際に乗ってみると、車内は広々していてシートはとても座り心地が良かった。

カーナビは最新のものが搭載されていて、同乗者にも快適な装備がいろいろとあるらしい。

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