いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
一緒に食料品の買い物をするくらいでそれは考えすぎか?

だけど近所の主婦でごった返している夕方のスーパーにこんなイケメンがいたら、さぞかし目立って浮きまくるに違いない。

その隣にいるのがこんな地味で冴えない女では、安藤部長が『趣味の悪い残念なイケメン』だと思われるだろう。

そんなの私自身がいたたまれない。

「やっぱり私一人で行ってパパッと買い物してきますから、部屋で待っていてもらえますか?」

「いやだ。俺は真央と一緒に献立考えながら買い物したい。それに真央一人じゃ荷物が重くて大変だろ?」

「いえ、すぐ近くですし、私こう見えて力だけはありますのでご心配なく!」

『一人で行く』『いや一緒に行く』と、玄関の前でしばらく押し問答を続けていると、安藤部長はついにしびれを切らしたのか、私のあごをガッチリとつかんだ。

「わかった。どうしても一人で行くって言うなら、今すぐここで『行ってきます』のキスをしてから行け」

「ええっ?!」

「ほら早く!なんなら『行ってらっしゃい』のキスもしてやろうか?」

むちゃくちゃだ!

あまりにも横暴過ぎる!

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