いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
「創、このあとうち来る?昨日は中途半端だったでしょ?」

「まぁ、そうなんだけど……さすがに2日続けてはちょっとな」

「あら、遠慮してるの?いまさらそんな気を遣うような仲じゃないのに」

二人の会話がやけに生々しく聞こえて、私は足早に会議室の前を通り過ぎる。

昨日の夜、二人の間に何があったのかは知らない。

だけどそこには他の誰かが入る余地などないように思えた。

今夜は私から夕飯を断る必要なんてなさそうだ。


帰り道の途中でいつものスーパーに寄ろうかと思ったけれど、食事の支度をするのが急激にめんどくさくなって、スーパーには寄らずまっすぐ帰宅した。

部屋に入ると疲れがドッと押し寄せる。

料理を作るだけでなく食べることも億劫だ。

それでも明日のために少しくらいは胃に入れておこうと思い、温めた冷凍御飯に塩昆布を乗せて熱いお茶をかけ、流し込むようにして夕飯を済ませた。

おそらく安藤部長は来ないだろうし、食べるのは私一人なんだから、たまにはこんな日があってもいい。

今夜は久しぶりに一人でゆっくり過ごせる。

最近ずっと寝不足だったことだし、さっさとお風呂に入って寝てしまおう。


< 222 / 991 >

この作品をシェア

pagetop