いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
離婚するまでの間は一緒に住むわけだから、毎日夕飯を断り続けることはできないし、安藤部長があの人と会って帰って来たとしても、義務だと思って食事係に徹するべきか。
だけどそれをいつまで続ければいいのかわからないし、好きな人に求められるのが料理だけなんて、あまりにもつら過ぎる。
お互いに好きで結婚したのなら食事の用意をするのも楽しいし、何もつらくなんてないんだけどな。
湯飲みをすすぎながら大きなため息をついたとき、すぐ後ろに人の気配を感じた。
あまりに近い距離感に驚き振り返ると、そこにいたのは航太だった。
「真央、ちょっといい?」
航太に話し掛けられるのは何週間ぶりだろう?
会社では航太から『真央』なんて呼ばれたことがなかったし、業務上必要なこと以外は会話もほとんどしなかったので、強い違和感を抱いた。
どうやら仕事の話ではなさそうだ。
「……なに?」
周りに誰もいないことを確認して、もうひとつの湯飲みをすすぎながら小声で返事をすると、航太は突然後ろから私を抱きしめた。
私は想定外の航太の行動にうろたえ、手に持っていた湯飲みをシンクに落としてしまう。
だけどそれをいつまで続ければいいのかわからないし、好きな人に求められるのが料理だけなんて、あまりにもつら過ぎる。
お互いに好きで結婚したのなら食事の用意をするのも楽しいし、何もつらくなんてないんだけどな。
湯飲みをすすぎながら大きなため息をついたとき、すぐ後ろに人の気配を感じた。
あまりに近い距離感に驚き振り返ると、そこにいたのは航太だった。
「真央、ちょっといい?」
航太に話し掛けられるのは何週間ぶりだろう?
会社では航太から『真央』なんて呼ばれたことがなかったし、業務上必要なこと以外は会話もほとんどしなかったので、強い違和感を抱いた。
どうやら仕事の話ではなさそうだ。
「……なに?」
周りに誰もいないことを確認して、もうひとつの湯飲みをすすぎながら小声で返事をすると、航太は突然後ろから私を抱きしめた。
私は想定外の航太の行動にうろたえ、手に持っていた湯飲みをシンクに落としてしまう。