いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─

やっぱりそうか。

その言葉を聞いて、私に求められているのはそれだけなんだと言うことがハッキリしたような気がする。

「ところで話は変わるけどな、今度の土曜日、空いてるか？」

「空いてますけど……休日出勤ですか？」

「いや、仕事じゃなくて個人的な頼みなんだが……今度の土曜日な、結婚記念日なんだ」

話によると、池崎課長は最近会社の近くにマイホームを購入したところで、足りない食器や小物などを買うために、日頃家事や育児に加え職場復帰して仕事も頑張っている奥さんの息抜きも兼ねて、夫婦二人だけで出掛けたいらしい。

「上の二人は俺の妹夫婦が金曜の夜に迎えに来て、土曜日は遊園地に連れて行ってくれるんだ。でも下の子はまだ１歳だから、長時間の外出は子どもにとっても大人にとっても大変だからな。そこで小柴にベビーシッターをお願いしたい」

「私にですか？」

「ベビーシッターと、夕飯の支度をしてもらいたいんだ。もちろんバイト料は出す」

「子どもの頃から家事と赤ちゃんの世話はしてきたので、それは構いませんけど……私、たいした料理は作れませんよ？」