いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
「じつはうちのカミさん、料理はあんまり得意じゃなくてな。俺も休みの日とか帰りが早い日に作ったりはするけど、やっぱりカミさんの方がすべてにおいて負担が大きいだろ?それでも毎日家族のために頑張ってくれてるから、土曜日はとにかくカミさんをゆっくり休ませてやりたいんだ。普通の家庭料理でじゅうぶんだから、引き受けてくれるか?」

外食しても、小さな子が3人もいると子どもの食事の世話に追われて、特に母親はゆっくり食事をすることはできないし、食べ終わって退屈した子が騒いだりもするので周りに気を遣うそうだ。

愛妻家と噂されるだけあって、池崎課長のお願いは奥さんへの愛情と、日頃の感謝と気遣いに溢れている。

お互いを大切に思いやり、二人で子どもたちを愛情いっぱいに育んでいる様子が伝わってくる。

池崎課長夫妻のあわただしい日常は、私にとっての理想の夫婦像だ。

私は家事の大変さはよく知っているからこそ、池崎課長が奥さんをいたわる気持ちはよくわかるし、少しでも力になれたらと思う。

「わかりました。でもバイト料は結構です」

「いや、それだと小柴に申し訳ないから」

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