いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
イケメンだから恋愛経験は豊富そうだし、きっとこれまでこの体で、たくさんの女の人を虜にしてきたに違いない。

そう考えると胸がモヤッとする。

「でも俺が愛したいのも愛されたいのも真央だけだからな?真央も俺以外のヤツに、そんな可愛い顔見せんなよ」

ああ、そうか。

過去は誰にだってあるし、もちろん私にもある。

過去がどうであれ、今とこれから先は創さんとお互いを想い合えたら、それでいいんだ。

「絶対に見せませんよ……。私も愛されたいのは創さんだけです」

「じゃあ愛したいのは?」

「……それも創さんだけです」

「よくできました。一生愛し合おうな」

抱きしめ合って、何度もキスをして、素肌でお互いの体温を感じながら眠りについた。

創さんの腕の中にいると、あたたかくて優しくて、こうしていられることがとても幸せだと思えた。

そばにいるだけで安心する。

愛する人に身も心も愛されるって、こういうことなんだな。

私はこれまで、心の底から誰かを愛して求めたことも、愛されて求められたこともなかったのだと気付く。

とんでもないなりゆきで結婚した私たちだけど、これからお互いのことをたくさん知って、大切に想い合って、誰よりも強い絆で結ばれた本物の夫婦になっていけたらと思う。






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