いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
「ああ……それはいいですね。実際は返済の必要はないんですけど、向こうはそれを知らないので」

私がそう答えると、創さんは軽く首をかしげた。

「必要ないって、もう返済が終わったから?」

「いえ、給付型奨学金を受けられたので、返済は無かったんです」

私が通っていた大学には独自の奨学金制度があった。

世帯の人数別に定められた世帯収入額が基準以下であると言う条件と、一定の学力と内申点を満たし、且つ高校の学校長から推薦された受験生には、返済の必要がない給付型奨学金が受けられるチャンスが与えられた。

入試とは別に給付型奨学金を受けるための試験があって、入試合格後に行われるその試験をクリアできた者は奨学金を受けられるので、通常は入学前に納入しなければならない入学金や授業料なども払う必要がなかった。

私は高校に入学してすぐ、できるだけお金をかけず大学へ行くにはどうすればいいのかといろいろ調べ、その大学の給付型奨学金制度を受けるために必死で勉強して、常に学年で全教科3位以内、全国模試ではA判定の成績をキープして、学校長からの推薦を勝ち取った上で受験したのだ。

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