いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
入学金と授業料、設備費など、在学中に掛かる学費がすべて免除されたおかげで、私が学業のために支払ったお金は教科書代とか交通費くらいだと思う。

もちろん大学在学中の成績が芳しくないと奨学金を受ける権利が剥奪されるので、バイトして生活費を稼ぎながら成績を維持するのはかなり大変だった。

そのおかげもあってか、私は就職を希望していた今の会社にもすんなりと内定して、学部首席の成績で卒業した。

そのことを話している間、創さんはポカンと口を開いて言葉を失っていた。

「大学って……とんかつ屋の近くの、あの大学だよな?」

「ええ、そうですね」

「名門校じゃん……!そこで首席って……!真央、じつはめちゃくちゃ頭いい……?」

「頭がいいかどうかは自分ではわかりませんけど……親からの援助もないし、背に腹は変えられない状態だったので、ただただ必死でした」

「すげぇな……。さすが俺の真央……」

こんな個人的な話は家族にも友達にもしたことがなかったので、頑張ったことを誉められると嬉しい反面、誉められることには慣れていないので、少しばかり照れくさい。

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