いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
「親にとっては大事な縁談だからな。真央がそれを潰したら……頭のいい真央なら、どうなるかわかるだろ?」

「どうなるか……?」

なんの証拠もないのに、私が『東さんに彼氏を寝盗られた』とか、『社内には東さんに彼氏を寝盗られた女性社員がたくさんいる』と言っても信じてもらえるかはわからない。

だけどもしそれによって縁談が破談になったとしても、創さんのご両親は、大事な縁談を潰した私を息子の結婚相手として認めるだろうか?

私には創さんとのお付き合いの期間がない。

創さんと結婚する直前まで別の男と付き合っていたのだから、二股だと疑われてもおかしくないだろう。

もし私たちが嘘の証言をしたとしても、東さんがたった一言『それは違う』と言えば、私たちの方がただの嘘つきだと切り捨てられるだけだ。

本当のことを言っても、嘘をついても、どちらも私にとっては分が悪すぎる。

そうなることがわかっているから、創さんと池崎課長は私に話を振らなかったのだと気付いた。

「だったら……どうすればいいんでしょう……」

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