いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
「うーん、既成事実?子どもができたって言えば、東との縁談は破談になるんじゃないかなと」

ちょっと待って。

それは聞き捨てならない。

東さんとの縁談を破談にするために、私との結婚の既成事実として子どもを作るって、おかしくないか?

そんなの子どもに対しても、もちろん私に対しても失礼だとは思わないのかな?

会社のために結婚して、後継ぎを残すために子どもを産んだと言う創さんのお母さんと同じなんじゃないかと思う。

目的は違うにしても、子どもを道具のように扱うのは許せない。

私は創さんの手を思いきりつねって、私の体から無理やり引き剥がした。

創さんはどうして私が拒むのかがわからないらしく、驚いた顔をして私の顔を覗き込む。

「創さん、それは間違ってると思います」

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