いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
紙袋を受け取って中を覗いてみると、紅白の苺大福と色鮮やかな季節の練り切りがいくつか入っていた。

今時の女子なら見た目の華やかな洋菓子を好むだろうけど、私は洋菓子より断然和菓子の方が好きだ。

特に練り切りには目がない。

そんな話をしたことはないはずなのに、安藤部長が私の大好物を選んできたことが不思議だった。

「私、和菓子が好きだって話しましたっけ?」

「いや、なんとなく好きかなと思って」

「よくわかりましたね。私、特に練り切りが大好きなんです」

「そうか……。喜んでくれて良かった」

安藤部長はそう言って顔をほころばせたあと、ソワソワしながら部屋の方と私を交互に見る。

「えーっと……中に入っても?」

「お出しできるのは夕飯くらいですけど、それでも良ければどうぞ」

「おじゃまします」

いつになく素直に応じる安藤部長がなんだかおかしくて、また吹き出しそうになった。

何を食べたいかとトークで聞いて【真央】と返されたときは、まさか本気で言っているのかと少し驚いたけれど、あれはただのジョークだったようだ。

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