いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
あんまり意地悪するのもかわいそうなので、悪ふざけをしたことは許してあげるとして、笑いをこらえながらメッセージを送る。
【『なんでも』が一番困るんですが】
【煮魚が食べたいです】
【わかりました】
短いやり取りを終えてスマホをバッグにしまい、到着した電車に乗り込んでドアの近くに立った。
先ほどの安藤部長らしからぬメッセージを思い出してニヤニヤしている自分に気付き、あわてて口元を引き締め窓の外を眺める。
もっとこってりしたものをリクエストされるかと思ったのに、煮魚が食べたいとは意外だった。
海外から戻ったところだから和食が食べたくなるのかなと思いながら、スーパーで特売になっていた鯖とほうれん草を買って帰宅した。
鯖の味噌煮とほうれん草のゴマ和え、ジャガイモと玉ねぎの味噌汁を作り終えて少し経った頃、安藤部長がやって来て玄関先で小さな紙袋を差し出した。
「なんですか、これ?」
「ふざけたお詫び。お納めください」
これで私の機嫌を取るつもりなのかな……?
別に怒っていたわけではないけれど、お詫びと言われたら受け取らないわけにはいかない。
「では遠慮なく……」
【『なんでも』が一番困るんですが】
【煮魚が食べたいです】
【わかりました】
短いやり取りを終えてスマホをバッグにしまい、到着した電車に乗り込んでドアの近くに立った。
先ほどの安藤部長らしからぬメッセージを思い出してニヤニヤしている自分に気付き、あわてて口元を引き締め窓の外を眺める。
もっとこってりしたものをリクエストされるかと思ったのに、煮魚が食べたいとは意外だった。
海外から戻ったところだから和食が食べたくなるのかなと思いながら、スーパーで特売になっていた鯖とほうれん草を買って帰宅した。
鯖の味噌煮とほうれん草のゴマ和え、ジャガイモと玉ねぎの味噌汁を作り終えて少し経った頃、安藤部長がやって来て玄関先で小さな紙袋を差し出した。
「なんですか、これ?」
「ふざけたお詫び。お納めください」
これで私の機嫌を取るつもりなのかな……?
別に怒っていたわけではないけれど、お詫びと言われたら受け取らないわけにはいかない。
「では遠慮なく……」