キミに伝えたい愛がある。
「ちーちゃんってクリスマス予定ある?僕さ、ちーちゃんとイルミネーション行きたいんだけど」


「特にないから大丈夫だよ」


「じゃあ、10時にヤマブキ町駅で待ち合わせしよう。楽しみだなぁ...」


「そうだね」


「ちーちゃん可愛い格好してきてね。僕もお洒落するから」



可愛い格好か...。


私はやっぱりダサいのだろうか。


そりゃ、元が良くないんだから何を着てもイマイチだとは思うけど、遠回しに普段からダサいと言われているような気がして落ち込んだ。


最近は空くんの言葉に傷付いてばかりだ。


空くんってこんな人だったっけと疑いの目を持たずにはいられない。


でも私への愛はとてつもなく感じるから、空くんを拒むことはできないんだ。


空くんを嫌いにはなれない。


こんな私の側に居てくるだけでありがたいことだと思う。



「ちーちゃん家着いたね。あっという間だ。今度さ、ちーちゃんのおばあちゃんとお昼とか夕飯とかご一緒してもいいかな?僕挨拶まだだったし、できればちーちゃんの門限のことも交渉したい」


「そ...そうだね。じゃあ、おばあちゃんに...」


「どうしたんだい?」



おばあちゃんがちょうど買い物袋を両手に提げて帰ってきた。


冬だというのに冷や汗が背中に一筋流れる。



「こんばんは。僕はちゆりさんとお付き合いさせて頂いている青木空と申します。差し支えなければ今晩ご一緒してもよろしいですか?もちろんお手伝い致しますので」


「ふーん...」



祖母のしかめっ面を見るのは、母が再婚するといったあの日以来だった。


男性絡みになると祖母の目はナイフのようにきらりと光り、切れ味がよくなる。


祖母の鋭い眼光に負けず、空くんも祖母に視線を投げ掛け続ける。


しばらく睨み合った後、祖母は口を開いた。



「よろしい」


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