副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「……わかりました。私でよければ、無理のない範囲でご協力させていただきます。
正直、実家の方で仕事を紹介していただけるのは、とてもありがたいので」

承諾したのだから、喜んでもらえると思った。
でも、東山さんはまた、ほんの一瞬だけ表情を変えた。
さっき見せた切なさを一層深めた、悲しげにすら見える表情が、私の心にひかかった。
なぜそんな顔をするのだろう……

そう考え始めた私の思考を遮断するかのように、東山さんは再び、あの見慣れた笑みを纏ってしまった。

「助かります。それでは今から、あなたと私は婚約者ということで。誰に何を聞かれてもいいように、設定を決めておきましょう。
と、その前に、呼び方もですね。結婚を意識している恋人同士なんですから、私はあなたのことを、美鈴と呼ばせていただきます。
それとも、みいちゃんがよろしかったですか?」

珍しく、意地悪そうな顔をする東山さん。

「み、美鈴でお願いします」

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