三月はいなくなる子が多いから
昨日、私こと平野麻依(ひらのまい)は、
片想いをしている担任の牧田(まきた)先生から
クラスメイトの園田(そのだ)さんと友達になってほしいと
お願いされました。


学園で一番目立つ園田さんと友達になるなんてこと、
目立つのが苦手な私には相当な覚悟がなければ
できないことです。

さらにいくらお願いしたところで

「あたしも平野さんのこと気になってたのよ。
麻依って呼んでいいだろ?
あとあたしのことはマリエルでいいよ。
友達だろ、あたしたち」

こんな具合に
園田さんが私を受け入れてくれるとは思えない。。。


そしてこれだ。
生まれてからこれまでの人生で
一番イカつい不良に問われてしまったのです。

汝の恋心は本物である、かと。


フリーズしてしまっている私に苛立ったのか
大男はまた聞いた。

「おい、その女が園田マリエルなんだろ?」

視線だけを園田さんに向けた。

2日連続で、私は卒倒するところだった。
園田さんは見惚れてしまうほど綺麗な瞳で
興味深そうに私を見ていたのだ。
目の前にいる不良たちなんて気にしていない。

私の言葉ひとつで、
最後の審判を引き起こすラッパを持った第七の天使のように思った。
あるいは私の千年の平和を終わらせるサタンか。


小説っぽい例えで誤魔化してしまった。

つまり、
不良たちよりも、園田さんの方が怖かった。


ヒトがわずかに残している動物としての直感が
同級生の、ひとりの女の子の方が、
私にとって大きな危険であることを教えた。
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