龍神様物語

腕に着けていた腕時計は私が楓さんを見た時間から1時間しか経っていなかった。

屋敷にいたときは2、3時間は経っていたはずなのにこっちの時間は少ししか進んでいなかった。

いろんなことが起こりすぎて私はただ唖然|《あぜん》としていた。

だけど先ほど目を閉じる瞬間に

『美景さん。私たちのことを調べようとしてくれてありがとう。私はこの人に出会えてこの人の妻になれてとても幸せよ。』

そう言っていた。

それを思い出して私はほんわかな気持ちになった。

帰りに楓さんの言っていたおいしいすあまを買って家に帰った。

「まって?私って神隠しにあってた?」

そんな気分になってやまない私だった。

こんなことは誰に言っても信じてはくれなさそうだから自分の心の中にだけにとどめておこうと思った。

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